(ネタバレ注意!)ノベルゲーム「世界で一番悲しい笑顔」をプレイしました。

本日、「→Quantize_」の紅音久遠さんとtai_さんによるビジュアルノベル「世界で一番悲しい笑顔」をプレイいたしました。ラストは温かい気持ちにさせてくれる、良い作品だったと思います。
以下、ネタバレ注意です。




















本作品は、いわゆる「不治の病もの」でした。全体で見ますと、ストーリーは比較的王道なものだと思います。しかし、「良いものは良い」という事実を再認識させてくれました(笑) うっすらと絶望感が漂う中で過ごす楽しい時間。切なくも、ひとの温かさを感じさせてくれるラスト。分かっていても、感動させてくれました。時折、こういうお話を読みたくなりますね。

話の展開のさせ方も優れていました。パチンコをやめようとした主人公が、お菓子作りにやりがいを見出す。その後、美羽のためにもという思いで新商品開発に奮闘する、という流れ。読み手としても非常に納得がいく展開でしたし、ここの部分は特に登場人物に感情移入しやすかったです。物語における目標が常に見えていたのも良かったですね。特に中盤からは、飽きることなく読めました。

さて、先ほど王道と申し上げましたが、一方で、本作のオリジナリティも光っていたと思います。例えば、パチンコにはまる主人公の心理描写。「わかっているけどやめられない」という依存の本質をよく描けていると思いました。実にリアリティがあって、「作者さんも少しパチンコを打ったことがあるのかな」と邪推しながら読んでいました(笑) 
依存症の人は自身でも困っているのだ、というのは、周りとしてはなかなか理解しがたいことです。本人は誰かに助けてほしいと思っていることが結構あるし、実際、治療には他者の協力が必要だと言われているようです。本作品も、パチンコにはまってしまっている彼が、美羽という存在のおかげで依存から抜け出していくわけですが、その心理描写は見事でした。勉強になりましたね。

もうひとつオリジナリティをあげるとするなら、料理の描写も良かったです。新製品の開発の様子を描くって、相当大変だと思うんですよね。こうした描写をするためには、制作者自身が勉強し、経験しなければならないはずです。同じ制作者として尊敬の念を抱きました。

音楽やビジュアルも良かったです。音楽は全て自作であったことも驚き。
全体的にレベルが高い作品でした。

個人的に少し気になった点を挙げるとするならば、序盤の描写は少し冗長であったかもしれません。前述したとおり、パチンコの描写はリアリティがあったし本作の良さだとも思うのですが、さすがに詳しすぎるかなあ、と。交互に描かれていた美羽との時間も、若干マンネリに感じてしまいました(美羽が、お菓子をねだるばかりの変わった子に見えてしまうかも。後に、本当はすごく良い子であることがわかるんですけどね)。個人的には、パチンコの描写はもう少しコンパクトにしてもよかったように思いました。もしくは、序盤でももう少し美羽の人間性について描いてよかったかもしれません(例えば、彼女は絵が上手いのだという様子を、少し見せておく、等。そうすると、彼女との時間の描写ももう少し幅が生まれたかも)。

だいたいこんなところでしょうか。
ふと思い立ってプレイしてみた本作品でしたが、制作者さんのおかげで有意義な時間を過ごすことができました。切なくも温かな気持ちにさせてくれるこんな作品が、僕は大好きです(自分でも作りたいな、と思っていますね)。絶対に100%のハッピーエンドじゃなきゃ嫌だ、という方でなければ、ぜひ一度プレイされてみてください。

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