(ネタバレ注意)ノベルゲーム「サマー・ロビン・ガール」をプレイしました。

先日、「たまごネコは夢を見る」のkazaさんによるノベルゲーム「サマー・ロビン・ガール」をプレイさせていただきました。個人的な要因もあってか、心に強く響くものがあった作品でした。以下、ネタバレ注意。

















「サマーロビンガール」は、夏を舞台にした物語です。まず目を惹くのは、綺麗なイラスト。特にタイトル画面の短冊のイラストは、物語の雰囲気にもよく合っていてすごく良かったと思います。
さて、肝心の物語についてですが、本作品は中盤以降が優れていました。すなわち、「彼女が例の行動をした理由」を探しはじめるあたりからです。僕が特に素晴らしいと感じたのは、「テーマの描き方」ですね。ヒロインの行動の理由を探すという形で、「大人にならなければならない悲しみ」が丁寧に描かれます。そうした悲しみに対するひとつの答えを主人公がラストで語ってくれるのですが、これが実によかった。特に、「もしも、お前がいてくれたなら、俺、もっともっと幸せだったよ」というセリフ。正直、久しぶりに目頭が熱くなりました。
少し個人的な話になりますが、この「大人にならなければならない悲しみ」というテーマ自体が僕にとってはツボでした。僕は、子供らしい心をいまだに捨てられていない人間です(笑) 今でも昔からの友達と時々集まって、川遊びやら子供時代の歌しばりのカラオケをしたりします。家族からは「いくつになっても子供みたいね」と笑われるのですが。そういう遊びをしている時だけは何も考えずにはしゃげるし、「こうした時間のおかげで、普段は大人としてふるまえるのかな」とも思っています。そんな僕だからこそ「大人になりたくない」という言葉が心の深くまで響いたのだと思います。大人になるのは避けられない以上、アクジや葵のように、未来を見据えながら理性的に行動するのが、きっと正しい。でも、誰しも心のどこかに「子供のままでいたい」という思いを持っているものだと思うんですよね。そうした思いを「甘えている」と否定するのではなく、大切なものとして描いてくださったことに賛辞を送りたいですね。本作品を読み終えた後、随分と癒された自分を感じました。あとがきを読むと、作者様も同じような思いがあったということですが、これもまた感慨深かったです。やっぱり、心の深いところから出てくる表現が、読者の心の深いところまで届くのだろうだなあと思いますね。
なお、本作品に入り込めるかどうかは、ヒロインである陽和に共感できるかどうかが大きなポイントでしょうね。行動を起こす直前まで主人公と会っていたこと、感情をあらわにする様子が滅多にないこともあって、ヒロインに共感できないと感じる人もいるかもしれません。でも僕は、陽和の感情、理解できる気がするんですよね。思うに、家庭環境が彼女の精神構造に大きく影響していたのかな、と。心身ともに大人の女性らしくなっていくこの時期、「大人になりたくない」と思う女性は多いと聞きます(女性らしい体からほど遠くなってしまう摂食障害という病が思春期に多い事、大人の女性の象徴である母親との葛藤がその原因になり得る事も、この問題と関連がありそうです)。そんな多感な時期、義父からあのように性的な発言をされれば、相当な心的ダメージを受けたはずです。また、仲の良かったメンバーには、良い自分を見せたいという思いが陽和にはあったと想像できます。ですから、仲が良い主人公にすら悩みを言えなかったのではなく、主人公だからこそ「大人になりたくない」という悩みを打ち明けられなかったのだろうと思います。
長々と書いてしまいましたが、心に残る良い作品だったと思います。後半は重たい展開が続くので正直読んでいてしんどいのですが、それを上回る感動があると思います。気になった方はぜひプレイされてみてください。

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