作者として、どの作品を一番気に入っていますか?

※今回は少し長文を書かせていただきます。また、「自分語り」の要素がけっこう多い記事なので、不快に思われる方は読まずにいてくださると幸いです。




「作者として、どの作品を一番気に入っていますか」

これは、2012年9月、一緒にお酒を飲んでいた某Nさんからお尋ねされたことです。この時僕は、「君と再会した日」までの6作品をは完成させていたわけですが、この質問に即答できませんでした。それから少し迷った上で「乙女心と夏の空」と答えたように思います。
ただ、「本当にそうか?」という思いがずっとあって。以来、僕の中で「1番気に入っているのはどれか」という疑問が時々浮かぶようになりました。
本日は、この疑問について少し書いてみたいと思います。

制作者にとって、作品とは自分の子供みたいなものだ。そんな風に感じます。制作している間は未成年。完成して世に送り出してからは成人。僕はそういうつもりで作品を公開してきました。ですから、気に入っていない、思い入れがない作品というのはひとつもありません。
ただ、「優等生はどれか」と考えると「君と再会した日」と「眠れない夜に」になるんでしょうね。これらふたつは、割と読者の方にも気に入ってもらえることが多いです。それは、「読者の心に届くようにするためには、どのように書いたらいいだろうか」という点をある程度考えて作ったからかなあ、と思っています。

前半の制作は、そういう点をあまり考えずに取り組んでいました。
例えば。第1作の「僕の愛する三匹」と第2作の「吟遊詩人」は、作った側としてはけっこう思い入れのある作品なのですが。読んでいると、とにかく自由に、書きたいように書いていると感じます。あの頃の僕は、「誰のためでもない、自分のために書くのだ」という思いが特に強かったのを覚えています。「読者に媚びへつらうな! 面白くなるように追求していけば読者は自然についてくるんだ!」くらいの傲慢な思いもあったかもしれませんw 日記なんかを見ても、あの時期は本当に好き勝手書いていたなあ、と感じます。

そんな僕に、大きな転機が訪れます。
それが、第4作目の「乙女心と夏の空」の完成、および公開です。
この作品の制作は、実に苦労しました。どのくらいの苦労かというと、他の6作を作った苦労を全部足しても足りないくらいですw それは「あの仕掛け」を施すためですね。書き上げた文章を何度も何度も読み返しては書き直す。それを繰り返しながら、コツコツと作り上げていきました。
完成に近づいてくるとすごくうれしくて、「これまでにない名作が出来上がるんじゃないか?」なんて思いもありました(実にお恥ずかしいことですけどね)。あの仕掛けに、読者はきっと驚愕するだろう。ラストは、大いに読者を感動させられるだろう。そんな思いで公開しました。

しかしその結果は、期待通りではありませんでした。
何人かの方からは温かい感想を頂けたものの、他の作品と同様以上の手ごたえは得られませんでした。某レビュアーさんからは「気持ちわりい」と言われたりもしましたねw 例えば「(頂いた評価)÷(かけた労力、時間)」を作品ごとに計算してみたとするならば。7つの作品の中でずば抜けてこの値が低いのが「乙女心と夏の空」になるでしょうね。

誠に勝手な話なのですが、当時の僕にとってこの結果はけっこうショックなものでした。
「制作なんてやめてやる!」と、何度も思いましたね。こんなことをしても、時間の無駄だ。あれだけ力作を作り上げても、皆見てはくれないのだから、と、屈曲した思いが募りました。
でも、このまま終わるのも悔しいという思いもあって。半ばヤケクソになって作り上げたのが「セイシュン真っ盛り!」ですw 立ち絵もつけたり、今思うととんでもない下ネタを入れたり。とにかく読者を驚かせてやろうという思いでしたねえ……。だけどどこかに「自分らしさを入れる!」という意固地な部分は残っていました。ラストをあんな形にして、単なる下ネタだけのギャグ作品に終わらせなかった(終わらすわけにはいかなかった)のはそういう理由です。こうした強がりは、「セイシュン真っ盛り!」の後書きからもうかがえますね。

これらふたつを公開し終えて。僕は、自分がどんなものを創作したいのかがよく分からなくなりました。
そこで、一度時間をおいて頭を整理していきました。
自分の思いを読者の人に届けるには、どう書いたらいいだろうか。そのことをしばらく考えました。
そうして考えるようになったのが、「作者の目だけでなくて、読者の目も持って制作しよう」ということです。とは言え、読者の目ばかりを気にして制作するのは、アマチュアの制作者としてはやっぱり違う気がしていて。要は、自分が書きたいことと、読者が読みたい(であろう)もののバランスを考慮して書いていこうと決めました。
結果として、そうした心持ちになれて良かったと思うし、これからも両方の目を持ちながら制作していきたいと考えています。

長々とかいてすみません。
最後に、肝心の冒頭の疑問に戻ってみます。
上記のような背景もありますので、「1番気に入っている作品は?」と尋ねられれば、今の僕なら「眠れない夜に」と答えると思います。ありたい心持ちで作品を完成させられたというのが理由ですね。

ただ一方で、やっぱり「乙女心の夏の空」にはすごく特別な思いがあって。「1番『思い入れがある』作品は?」と尋ねられれば、この作品を挙げます。この作品を書けたことで、今の自分がある。他者からは思ったように評価されなくても、自分の中ではとても大切な作品ですね。

今日は随分と自分語りをしてしまい、申し訳ありません。
しかし、これまでの思いを保存しておきたい、という思いでつらつらと書かせていただきました。
これから家庭や仕事のことが更に忙しくなる(色々とポジションが変わりそうです)ため、なかなか更新できなくなるかもしれません。ただ、創作における「細く長く」というモットーは変わりません。
これからもぼちぼち頑張っていこうと思います。

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