(ネタバレ注意!)「綾さんのお役に立たせて下さい!」を読了しました。

寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は、「時の静寂ゲームの館」の龍海人さんによるノベルゲーム「綾さんのお役に立たせて下さい!」をプレイさせていただきました。これまた個人的な事情もあり、大変面白く読むことが出来ましたのでご紹介させて頂きます。
以下、ネタバレ注意。












本作品は、いきなり浮遊霊となってしまった舞と、霊能者の綾、先輩守護霊の弓子との交流を描いた作品です。
本作品はこれら主要キャラクターがうまく書き分けられていて、やり取りが軽快であったところが良かったと感じました。個人的には、弓子先輩がお気に入りです。年下の外見だけど年上であるというギャップ、結構好きなんですよね(笑) なんだかんだで優しいところも良かったです。
また、中盤までは王道らしい作品だな、と思っていたのですが、終盤に明かされる真実には良い意味で驚かされました。短編であるにも関わらず、こうしたどんでん返しを味わえる作品はなかなかないと思います。自分も「思いもよらない展開」は大好きなので、勉強になりました。
なお、その後の舞の言動については、賛否両論もあるかもしれません。人によっては、彼女の言動は「お人よし」過ぎるようにも感じることだと思います。ただ、彼女のそうした人柄が綾をはじめとした周囲の人間を救ったともいえますよね。「その過程はどうであれ、自分は救ってもらった。だから感謝している」という答えは、いかにも舞らしいですし、こちらも考えさせられるものがありました。僕も、(自分で言うのもなんですが)どちらかというとお人よしの方なので、こうした物語には救われた心地になります。読後感も良くて、素直に「読んでよかった」と思える作品でした。

なお、少しだけ作品と直接関係ない話をさせて頂きます。
本作品の制作者さんは病気を有しているとのことですね。そもそも、病気を持ちながらノベルゲームを作り上げたところは、それだけで大いに尊敬に値します。
加えて、僕がもうひとつ関心を持ったのは、その疾患が統合失調症だということでした。

僕個人の話をさせて頂きますと、僕は去年まで学生として研究をしていました。実はその研究テーマが「統合失調症の患者さんの生きづらさについて」だったんですよね。その概要と、得られた結果についても簡単に書いてみます。
統合失調症の方の中には、症状自体が落ち着いてもなかなか思うように社会復帰できない人もいることが明らかになっています。ただ、その原因はいまだにはっきりしていないため、「生きづらさ」と関連している項目を調べる研究が世界中で今も行われています。僕のも、そうした研究のひとつというわけです(認知機能と対人関係における「意思決定」を定量化して検討しています)。
その結果、「生きづらさ」と関連した項目が無事に複数見つかったのですが、それとは別で思いもよらなかった結果も得られています。その結果を少し乱暴に要約してしまうと、「統合失調症の方は、健常者よりも他者の行いに対して寛容である」ことが分かったんですね。なお、その寛容さの程度と生きづらさの程度についての関連は認めませんでした(つまり、寛容だから生きづらさを感じる、というわけではなさそうです)。
実際、統合失調症を患っている方を見ると、こちらが「見習わなければ」と思わされるほどに善良な方が多い印象で、本研究の結果は臨床感覚とも合致すると考えています。

少しと言いながらめちゃくちゃ脱線していますね、すみません(笑)
こうした結果を自分が持っていたものですから、他者を寛容に許すという本作品の展開と、作者さんが統合失調症を有しているということに関連があるようにも思えて、とても興味深いと感じました。本作品を書かれた作者さんも、他者の行いに対して寛容になれる側面をお持ちなのかもしれないな、と勝手に想像しておりました(作者さん、違ったらすみません)。

だいたいこんなところでしょうか。
短編ではありますが、意外な展開も見せてくれる面白い作品であったと思います。
未プレイの方は是非やってみてください。

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