(ネタバレ注意!)サウンドノベル「シンクロニシティ」をプレイしました。

最新作を怒涛の勢いで制作している九州壇氏です。今までとはかなり異なったタイプの作品で、制作が楽しいです。一方で、書けば書くほど後悔がつのっていますけどw しかし、たまにはぶっ壊れた作品を作ってもいいんじゃないかと自分に言い聞かせながら書いています。
さて、今日もフリーノベルゲームをプレイさせていただきました。。。「Torezuの雑多な趣味の部屋」のTorezuさんによる「シンクロニシティ」です。精神症を抱える主人公の物語ですが、心の病気に対する真摯な姿勢が好印象でした。以下、ネタバレ注意です。















まず、何故このゲームに興味を持ったのかと言いますと、「精神症の主人公」という特殊な設定にひかれたからでした。思うのですが、精神症の症状と真面目に向き合う作品って割と珍しいですよね。その症状を「狂気」として取り扱ったものならいくつかあるかもしれませんが、どうしても極端な描写が多くなったりするように思います。それに比べ、この作品は精神症が出てくる割にはかなり地味です。しかしその分、主人公の生活へのリアリティを重視していたように思います。
素晴らしいと思ったのは、作者さんが病気に対する知識を豊富に持っていることですね。統合失調の症状や薬、その副作用のことがバンバン出てきます。主人公が統合失調症を患っているのですから当然といえば当然ですが、これだけ自信を持って書けるのはすごいことです。恐らくですが、作者さんの中には精神症への偏見が少しでもなくなってほしいという思いがあるのではないでしょうか。これだけしっかり勉強した上で物語を作るという熱意は、同じ製作者として頭が下がります。
さて、そんなリアリティの描写の中で最も感銘を受けたのは、周囲の人々との間に起こる「二次災害」についてです。ここは本作の軸に当たるだけあって、かなり力が入れられていたように思います。作中にも少し出てきますが、統合失調症は偏見が多い病気です。うつ病などに対する世間に認識は少しずつ広まっていますけれども、統合失調症に対する目は依然として厳しいですよね。世間の目は冷たくて、数多くの誤解もある。それが、家族や患者さん本人に大きな負担となっていて、二重の苦しみを生んでいるのでしょう。本作は、精神症自体というよりもその「二次災害」との戦いを描いています。ここらへんのリアリティは、じんわりと読者に訴えてくるものがあります。また、そんな「二次災害」に直面した後、主人公が自分の病と上手に付き合う努力をしていくところは感動しました。こういう経緯でのハッピーエンドは非常に僕好みですw
ただ、気になった点もあります。主人公が周囲の人々の心の中に踏み入るシーンがいくつかあるのですが、ここには少しだけ違和感を覚えました。主人公のデリケートな部分への描写が上手いだけに、他人のデリケートな部分にガンガンと突っ込んでいくその姿がやや浮いていたような気がするんですよね。話の都合上仕方がない部分もあると思うんですが、もう少しだけ気を配っても良かったように思います。
文章については、多くが会話文で占められています。時おり誰が話しているのか分からないことがあったものの、縦書きをセレクトしてくれているおかげでかなり読みやすいです。加えて、ハッとさせてくれる文章が何度も出てきました。「精神症も糖尿病と変わらない」という言葉は、なるほどなー、と考えさせられました。

本作はゲームとして地味なものに入ります。しかし、精神症のリアリティある描写は様々な驚きを僕に与えてくれました。多くの方にやっていただきたい作品だと思います。

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